台湾の冬の定番料理・生姜と漢方たっぷりの鴨の薬膳鍋【覇味薑母鴨】

台湾では寒くなると、地元の人から「そろそろ薑母鴨が食べたい」と冬の到来を告げる会話が聞こえてきます。それぐらい台湾では人気を確立しているのにも関わらず、なぜかガイドブックにはあまり載っていないのが、今回紹介する台湾の冬の定番鍋料理「薑母鴨」です。

「薑母鴨」を知っている日本人は台湾通と言っていいと思います。私はこれを初めて台湾で食べた時、あまりの美味しさに、台湾で生まれ育った台湾人を心から羨みました。冬に台湾へ旅行に行く方は、是非この記事を参考にして「薑母鴨」を堪能してみてください。

覇味覇味, 薑母鴨

「薑」は日本語でも”はじかみ”と読んで生姜の意味で、薑に「母」を付けて二文字で表現するのは古い台湾語です。つまり「薑母鴨(ジャンムーヤー)」は生姜と鴨のスープのことを言います。

薑母鴨は、ベースの骨付き鴨肉(アヒル肉とも言われます)と生姜をごま油で炒め、高粱酒、さとうきび、数種類のブレンドした漢方などの薬草を加えた、滋味あふれる鍋料理です。火鉢の置かれた各テーブルで、更に野菜などの具材を加えて、炭火でぐつぐつと強烈に煮ます。

薑母鴨を食べることができるお店は色々ありますが、店舗数が多くチェーン展開している有名なお店と言えば「霸味薑母鴨」です。

覇味覇味, 薑母鴨

薑母鴨は冬場の料理であるため、冬期に期間限定で営業するお店がほとんどで、今回紹介する「覇味薑母鴨」も9月から3月か4月までしか営業しておらず、夏のシーズンはやっていません。

チェーン店ということもあって、メニューとスープの味付けがどこの店舗でも一定なので、地元民向けの超ローカルな薑母鴨のお店に比べて、観光客にも比較的入りやすい雰囲気なのでおすすめです。今回は台中にある店舗に行きました。

覇味覇味, 薑母鴨

鍋の中には予め鴨肉がゴロゴロと入っていて、そこに他の具材を自分で入れていきます。テーブルの真ん中の穴に鍋を置き、炭火で煮込んでいきます。鍋がころんとした壺のような丸い形で可愛いです。

下に見えるのが「麺線」と言われる素麺です。旨辛いソースがすでにかかっているのでそのままでも十分美味しいですし、麺同士が引っ付いて食べにくい時は、鍋のスープを少しかけてほぐして食べると、また味が変わって更に美味しいです。もう完全に旨味の極みです。

覇味覇味, 薑母鴨

鴨が丸ごと一羽使われているので、頭や手足など色々な部位が入っています。見慣れない部位の塊も入っているので、鍋をつついていて「わあ!!」と驚くこともしばしばあります。ゲテモノが苦手な人は注意した方がいいかもしれません。

鴨肉はふんだんに使われる生姜と漢方のおかげで全く臭みがなく、脂も適度にスープに落ちるのであっさりしています。スープにはお酒がたっぷりと使われていますが、グツグツと煮て作られるため、ほとんどアルコール感はありません。”鴨鍋”とだけ聞くと、もっと癖のあるスープなのかと思いがちですが、かなり飲みやすいスープです。

鴨肉も硬すぎず、柔らかすぎずと丁度良い硬さで、骨付きなので部位によっては食べるのに一苦労しますが、あまりの美味しさに無心で食べちゃいます。(お上品に食べるのはとても難しいです。)

覇味覇味, 薑母鴨

一緒に煮込んで美味しかったのが、豆皮、鴨肉丸、黒木耳、キャベツ、キノコ類です。「豆皮」は台湾の揚げた湯葉で、鍋に入れるとスープをたっぷり吸い込んでジュワッとした食感になります。「鴨肉丸」は鴨肉の肉団子で、言われるまで鶏肉だと勘違いしながら食べていたほど、全く臭みもなくてプリッとした食感です。

ちなみに鴨肉は、不飽和脂肪酸、ビタミンDや鉄分を多く含むので、血行が悪かったり冷え性の方にはぴったりの食材です。薑母鴨はこれに生姜と漢方が加わるので、食べた側から身体中の血の巡りが良くなり、身体の芯から温まります。汗っかきの私は、いつも全身から汗をダラダラ垂らしながら食べます。食べ終わった頃には、顔のお化粧なんてさっぱり流れ落ち、背中も汗びっしょりです。気の知れた仲の人と食べに行くのを、強くおすすめします。笑

台湾ではどこでもテイクアウトできるのが当たり前なので、お店で薑母鴨をスープごと持ち帰って、家で薑母鴨を堪能するのも一般的です。このテイクアウト文化は羨ましい限りです。

是非冬のシーズンに台湾に行く時は、薑母鴨を食べてみてはいかがでしょうか。今回紹介した「覇味薑母鴨」は台湾で全国チェーン展開しているので、アクセスの良い店舗に行ってみてください。