【台湾料理とは?】台湾料理の特徴と食文化の紹介

台湾家庭料理, 台湾料理

そもそも台湾料理と聞いて「きっと中華料理に似ている料理だけど、台湾料理との違いはイマイチ分からないなあ」と疑問に思う人は多いはず。最近日本で流行っているタピオカ専門店もメニューをよく見ると、実は中国からと台湾からの出店のお店が混在していますが、私たち日本人には区別が付かないぐらいです。

台湾には「呷飯皇帝大(食べることの地位は皇帝のように高い)」という諺まであるように、食べることを何よりも楽しとして重視するのは台湾人の特徴です。今回はそんな美食文化の国、台湾の食文化と歴史を紹介していきます。

台湾料理, 台湾の食文化

台湾は四方を海で囲まれている小さな島国で、日本の九州ぐらいの大きさです。小さな島国であるにも関わらず、国内中央部には3千メートル級の山々(日本の富士山よりも高い山もあります)が南北に縦走しているなど、多様な地形や豊かな自然条件が揃っています。そのため豊かな海の幸と山の幸など、多くの食材に恵まれています。

また、台湾は日本の最西端に位置する沖縄県とは大変近く、那覇空港から台北桃園空港までの飛行時間はたったの1時間30分程度です。そのため台湾と沖縄は、同じ暖かい気候から由来して風土と食文化まで似ている部分が多いです。フルーツ好きとしては、マンゴーやグアバやパイナップルなどの南国フルーツ天国なのも超魅力的です。

台湾料理, 台湾の食文化

狭い意味での「台湾料理」は福建料理がベースになっていますが、それぞれの出身地ごとで四川・上海・広東・北京料理もあります。台湾で採れる豊かな食材を取り入れながら、郷土料理として独自に発展してきたこれら全ての料理を「台湾料理」と言います。

まず台湾料理の特徴として、油を多用する他の地方の中華料理と異なり、比較的淡白で素朴かつ繊細な味付けの料理が多く、塩気も全体的に抑え気味です。また客家料理や日本料理からの影響も受けていることから、醤油を基調とした味付けが多く、味のアクセントに乾物や塩漬けをよく使います。日本人には馴染み深い味の料理が多いので、どこか懐かしい感じがして食べやすいです。

一方で、ニンニク・パクチー・コリアンダーなどの香りの強い薬味やスパイスよく加えられます。「薬膳・医食同源」の思想が根付いた薬味の効いた料理が多く、漢方薬も料理の材料として使うこともあるので、この独特の薬味の風味が好きかどうかで台湾料理の好き嫌いが分かれやすいかと思います。私は薬膳料理やスパイスが大好きなので、初めて食べた時から台湾料理の味付けにすっかり心奪われました。

台湾料理, 台湾の食文化

台湾料理の食材は、魚・牡蠣・カニ・エビ・イカ・貝類などの新鮮な海鮮類を種類豊富にふんだんに使用します。新鮮な海鮮の手の入りやすさは、四方を海で囲まれた島国ならではの特徴です。スープや炒め物や麺類のベースの出汁にも、ハマグリやカニや牡蠣など、日本では高級食材と言われる海鮮が惜しみなく使われるので、日本に住んでいる私にとっては贅沢な料理が多いです。

また薬膳の考え方に従い、旬の野菜を使った季節ごとの料理が多いのも特徴の一つです。シンプルな味付けで旬の野菜の甘みの特徴を活かした料理が多いです。台湾で「野菜炒め」と言うと、単品の野菜をこれでもかと言いたくなるほど山盛りで出てきます。例えば「ブロッコリー炒め」だと、油とニンニクと塩でさっと炒めたブロッコリーがお皿いっぱいにテンコ盛りで出てきます。温暖な気候で育った台湾野菜はどれも美味しいので、野菜好きの私には嬉しい限りです。

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台湾の住民の多くは開拓民としてのルーツを持っており、食材を無駄なく使う発想から、牛・豚・鶏・鴨などの内臓や血液を用いる料理もたくさんあります。内臓や凝固させた血液を多用する料理が多く、他の国ではなかなか食べることのできないような栄養価の高い食材に出会うことができます。見慣れない食材はちょっとグロテスクに感じるものもありますが、私は鴨血(ヤーシェ)という鴨の血を固めた赤黒いプルプルが大好物です。(一般の日本人は見た目に抵抗があって食べれない人が多いそうです。)

また健康上や宗教上の理由から、肉や魚を使わない素食(精進料理)も台湾ではよく見かけます。日本の素朴な精進料理とは異なり、豆腐やグルテンを用いて作られた素鶏・素魚・素肉と呼ばれる本物そっくりな”モドキ料理”があります。街中では「素食」と掲げたお店が点在し、普通のお店でも素食対応のメニューには「素食」のマークがメニューに表記されていることが多いです。

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写真は私の大好きな台湾の家庭料理の一つ、麻油鶏(マーヨージー)です。ニンニクと生姜とクコの実などを入れた、鶏肉を頭から爪の先まで丸ごと煮込んだ薬膳スープです。日本でも手に入る材料で簡単に作れるので、私は風邪の引き始めを感じた時に作って飲みます。麻油鶏(マーヨージー)のレシピ紹介はまた別記事で書きます。

台湾料理, 台湾の食文化
台湾料理, 台湾の食文化

台湾料理のスタイルはと言うと、庶民的で素朴な家庭料理を基本としています。写真は台湾人の友人のシェアハウスへ遊びに行った時に、男の子の台湾人の友人がささっと作ってくれた魚料理です。かなり夜遅くにお邪魔したのですが、宅配の揚げ物や炒め物のお惣菜もいくつか電話注文して、こんな遅い時間にこんな美味しい食事がすぐに食べられるなんてめちゃくちゃ便利、と感動したのを覚えています。日本だと宅配の最終受付はわりと早い時間ですよね。

また、古くから外食文化も盛んで、夜市に代表される路上の屋台も台湾の食文化の大きな特徴の一つです。価格の幅が広く、テイクアウト可能な店も多いため、一切自炊をしない家庭もあります。以前の記事でも紹介しましたが、朝ごはん屋さんのバリエーションが多いので、もちろん朝から外食です。

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台湾では日本と同じように、正式な宴会などでは席順や作法に決まりがありますが、基本的に台湾での食のマナーは厳しくありません。屋台や路面店のストリートフードがたくさんあるため、街中で食べ歩きしている人が多いです。片手で持てるドリンクやハンバーガーはもちろんのこと、串焼きやお弁当や麺類まで食べ歩きしている人もために見かけます。箸使いのマナーは日本と通じるものが多いですが、お箸の持ち方が変わっていたり、箸渡しを気にしなかったりと、日本人が驚かされることもあります。

レストランでチップは必要なく、大抵がレジでの決済であることは日本と同じです。特徴的なのは残り物をテイクアウトして帰るのが一般的ということです。台湾人は”もったいない精神”が日本に比べて強く、食べ物を残すことは失礼に値するそうです。台湾人からすると、日本人が飲み会の席で唐揚げなど最後の一つを全員が遠慮して永遠にお皿に残しておく光景は、信じられないそうです。

また、屋台や路面店では味付けを自分で決めることが多いので(食べ物の辛さ、飲み物の甘さ冷たさなど)、注文する際に店員に伝える必要があります。日本ではオーダーメイドの完成された料理が好まれますが、台湾では自分好みにカスタマイズできる方が好まれるのは、さすが自由な台湾です。私も自分の食べるものはその時の気分や好みでカスタマイズしたいので、台湾の注文方法は楽しくて好きです。

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以上、台湾料理の特徴と食文化の紹介でした。私は野菜ソムリエを取るほど野菜とフルーツが大好き、そして大学の薬学部で医食同源や薬膳を勉強してきたので、台湾の食文化に出会った瞬間から、すっかり魅了されました。皆さんも台湾に行った時、ぜひ現地のローカルフードと食文化に触れてみてください。