【どんぐり舎】西荻窪の老舗喫茶店で非日常的な時間を味わう

今回紹介するのは、私の東京屈指のお気に入りの喫茶店です。ある日、吉祥寺から西荻窪まで散歩をしていた時に、ひと休憩に美味しいコーヒーが飲みたくなり、ふらっと立ち寄ってみたのが知ったきっかけです。前情報もなく入ったので、なんて居心地が良い喫茶店なのだろうと、久々に喫茶店で感動したのを覚えています（後々調べてみると、カフェ本にもよく載っている有名店だと知りました）。今ではすっかり休日の行きつけの喫茶店です。そんな私の大好きな西荻窪の老舗喫茶店「どんぐり舎」を紹介します。

JR西荻窪駅北口から徒歩3分ほどの閑静な住宅街の中に、40年以上も続く老舗の喫茶店「どんぐり舎」があります。蔦が絡み合う外観で、昔ながらの雰囲気を醸し出しています。まるで森の中にあるような雰囲気で、「どんぐり舎」という店名がぴったりです。

ある日は窓際の席に座っていたら、隣近所のおばあちゃんがお店の前の植物にじょうろでお水をあげているところを見かけました。地元の人に長年愛されているのが伺える場面にほっこりしました。

店内に入ると、そこはまるで異世界。一気に非日常の世界に入り込めます。黒電話に振り時計など素敵なアンティーク小物で囲まれています。温かみのある木製のテーブルや椅子も素敵です。昔ながらのザ・喫茶店という雰囲気がお店全体に漂っています。

店内はとても静かで、振り子時計の音や珈琲を挽く音が聞こえてきて、とても居心地良い空間です。午後2時になると、振り子時計からゴーンゴーンと低めの音の鐘が2回鳴り、ノスタルジー感溢れています。ある時は、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」が流れていて、あまりに店内の雰囲気とぴったり合っていて、まるでジブリの世界観に迷い込んだかのような気分になりました。

以前は喫煙可だったみたいですが、現在は全席禁煙となっています。煙草の煙が苦手な私にとっては朗報です。昔ながらの喫茶店は、せっかく雰囲気が好きでも喫煙可のお店が今でも多く、入るのを断念してしまうことがしばしばあるので…（タバコを吸いながら、コーヒーを片手に新聞を読むおじさんの渋い雰囲気は好きなのですけどね）。地元のおじさんおばさんから若者まで、幅広い年代層のお客さんでいつも賑わっています。友人やカップルや夫婦で会話している人もいれば、読書したりパソコン仕事をしたり、一人で静かに思い思いの時間を過ごしているお客さんもいます。座席近くのいたるところに本や雑誌が置いてあり、自由に読むこともできます。

平日のお昼過ぎに行くと比較的空いていますが、休日は満席になることが多いです。「満席ですので」と入店を断られるお客さんが来ても、店主はお客さんに退店を声がけすることもないので、気兼ねなくゆったり過ごすことができて、とても心地良いです。

ドリンクメニューは500円からで、お得なトーストやケーキセットもあります。私はいつも決まってバタートーストセットを注文します。厚切りのトーストはこんがり黄金色に焼けていて、生地はモチモチで食べ応えがあります。塩気のあるバターが程よく溶けて、まさに王道のバタートーストです。いつも昼食後の休憩に訪問するので食べたことがないですが、ピザトーストも美味しそうなのでいつか…！

コーヒーのブレンドの種類はいくつかあり、私はいつも酸味ブレンドを注文します。苦すぎず、酸味がほんのり感じられるスッキリとした味わいです。あまりに美味しかったので、この日は帰りに珈琲豆も購入しました。自家焙煎の珈琲豆は100g単位で購入することができ、珈琲豆だけ買いに立ち寄るお客さんも多くいらっしゃいます。私は家にコーヒーミルがあるので、いつも豆のまま購入しますが、「豆でいいですか？」と聞かれたので、もしかしたら挽いてもらうこともできるかもしれません。

コーヒーもトーストも美味しいですが、それ以上にこの非日常的な世界観に価値があります。つい時間を忘れてしまいそうになり、いつまでもここにいたい、と思わさせてくれる素敵な喫茶店です。都内でこういう雰囲気の喫茶店を見つけるのは、なかなか難しいです。

窓際の席には、どんぐりの可愛いステンドガラスが揺れていました。何も考えずに、ただ店内をぼんやりと眺めながら過ごすのも好きです。

ゆっくりと落ち着いた時間を過ごしたい方は、西荻窪に来た際は「どんぐり舎」に行かれてみてはいかがでしょうか。